※注意:おお振りの原作沿いの名前変換小説(夢小説)です※
※注意:夢小説とはいえ特に誰かと恋愛する予定は今のところないです※

「おお振りの世界に異世界トリップ 第46章」


 9月中旬の月曜日、本日のミーティングでは明日の秋大地区予選2回戦に向けて部員全員でマネジが作った資料を読み合わせすることになっている。2回戦の対戦相手は戸田商業高校だ。篠岡とナマエは今日までの間に戸田商業高校に関するデータ収集・分析を行い、いつも通り資料を作り終えることができた。
 ミーティングが始まるとまず篠岡とナマエは作成した資料をモモカン・志賀先生・選手たちに配布した。それからモモカンに資料の説明をするように求められたので、ナマエは席から立ち上がって作成した資料に関する概要説明を行った。ナマエが説明を終えたら、いざ読み合わせ開始である。モモカンが選手たちに質問を投げかけたり選手たちの方から意見を言ったりしながら戸田商攻略のためのミーティングは順調に進んだ。
「じゃあ、資料の読み合わせはこれで終わりね。今日読み合わせをしてない残りの資料は各自家でしっかり目を通してください。明日は朝8時に裏グラに集合して、まずは全員で道具を私の車に積み込むよ。それからナマエちゃんと千代ちゃんは私の車で移動、選手のみんなはタクシーで球場まで移動します。明日の試合に備えて今日はゆっくり休んでください。では、本日のミーティングは以上とします!」
モモカンがそう言うと選手たちは大きな声で「あーっした」とあいさつを返した。そしてモモカンは教室から出ていった。

 ナマエが資料と筆記用具をエナメルバッグにしまっていると阿部・三橋・田島がナマエのところへとやってきた。実は今日はこの後三橋家でみんなで夕食作りをすることになっているのだ。みんなで…と言っても実際作るのは阿部と三橋の2人だ。ナマエはいざという時にはアドバイスをするつもりだが、なるべく手出し・口出ししないようにしようと考えている。そして田島に至っては完全に食べる専門である。ちなみに元々は阿部・三橋・ナマエの3人でやる予定だったのだが、三橋から今日の夕食作りイベントの話を聞いた田島が「オレも行くー!」と言い出したのでこのメンバーになった。
「じゃ、まずは今日の夕食の献立を決めなきゃいけないわけだけど、もう考えてある?」
ナマエが阿部と三橋にそう訊ねると2人は首を横に振った。
「だよね。昨日のうちにアスリート向けレシピ本を備品棚から回収しておいたよ。これ見ながら2人で決めてくれる?わかんないことあったら聞いて。」
ナマエはそう言って2人に向かって本を差し出した。阿部が本を受け取り、それを三橋に手渡した。
「オメーの食いたいもん言ってみろ。あ、わかってると思うけど生モノはなしだぞ。明日試合あるんだかんな。」
阿部は三橋にそう言った。三橋はレシピ本を見ながら食べたいものをいくつも挙げていった。三橋は食べ物の話になると幸せそうな顔をする。とてもかわいらしい。
「高校生男子は成長期だしメインディッシュ2品くらいあってもいいんじゃない?今三橋君が挙げたレシピの中から阿部と三橋君が1品ずつ選ぶのはどうかな?」
ナマエはそう提案した。三橋は「うー、っと…」と言いながらレシピ本のページを何度も捲って悩んでいる。そんな三橋を見た阿部は呆れた顔をしながら「オレが先に言う」と口を開いた。
「オレは豚肉が食いたいから青椒肉絲にすっぞ」
「オッケー、メインディッシュ2つのうち1つは青椒肉絲ね」
ナマエはノートにメモを取った。
「じゃ、三橋は鶏肉か魚を使ったレシピだな」
田島がニシシッと笑いながらそう言った。
「じゃ、あ…、オ、オレ、サーモンの、バターソテー!」
三橋はそう言った。田島は「おお、いいじゃん!うまそー!」と言って喜んでいる。
「あとは小鉢と汁物決めねえとな」
阿部はそう言ってレシピ本の中の副菜のページを開いて三橋に手渡した。三橋は副菜と汁物に関しても優柔不断を発揮したが最終的に副菜はほうれん草とえのきの和え物、汁物は小松菜となめこのみそ汁に決まった。
「じゃー、さっそく買い出しに行きますか!」
ナマエがそう言うと阿部・三橋・田島は「おうっ」と返事をした。ナマエたちは自転車に乗って学校から三橋家へ向かう道の途中にあるスーパーに寄った。
「食材を探すところから2人にやってもらうよー!わかんなかったら言ってね。」
ナマエは阿部と三橋にそう言った。三橋がレシピ本を見ながら先頭を歩いていく。その一歩後ろを買い物かごを持った阿部が歩く。田島とナマエはその2人の様子をさらに後ろから見守った。やっぱり三橋は阿部よりかは料理に精通しているようで新鮮な食材の見分け方も心得ているようだった。食材を選ぶ三橋に対して阿部は「こっちの方が安くね?」とか「これとそれで何が違うんだ?」とか色々質問をしていた。阿部の質問に対して三橋は「そっち、は、色…悪い」とか「こっち…ちょっとしなびてる、と思う」とか言ったりして阿部に食材の見分け方を教えてあげていた。
『うんうん!2人ともいい感じ♪』
ナマエはそんな阿部と三橋のやり取りを見守りながらニンマリと笑顔になった。

 阿部と三橋が無事に食材を全て買い終わったら、また自転車に乗って三橋家へ向かった。到着したらさっそく阿部と三橋はキッチンに立って調理を始める。
「なんか困ったことあったら呼んでね」
ナマエは阿部と三橋にそう声を掛けた後はリビングで田島と一緒に明日の試合に向けて戸田商の資料の読み合わせをした。キッチンからは三橋が阿部に色々と指示を出している声が聞こえてくる。普段は阿部があれこれと三橋の世話を焼いているパターンが多いので、三橋が阿部にモノを言っている様子は聞いているだけでもおもしろい。
「夏合宿中もこんな感じで朝食作ってたんかな」
田島がそう言った。
「私も2日間しか手伝ってないからよく知らないけど、阿部が餃子の皮破いた時は三橋君に叱られたって言ってたよ」
「マジか!それは見てみたかったな!」
「私もそう思う!」
田島とナマエは顔を見合わせてニシシッと笑い合った。

 結局、ナマエが手出し・口出しするまでもなく、阿部と三橋の2人は自分たちの力できちんと夕食を作り終えた。時刻は19時になろうとしている。田島とナマエは出来上がった料理をテーブルに運ぶのを手伝った。
「うおお、よく出来てんじゃん!」
テーブルに並んだ料理を見て田島がそう言った。ナマエもその隣でうんうんと頷いた。そしてテーブルに着席した阿部・三橋・田島・ナマエの4人は恒例の"うまそう"の儀式をやってから夕食を食べ始めた。
「なんかもう既に十分料理できてるね。練習の必要なかったんじゃん?」
ナマエは阿部にそう言った。
「いや、ミョウジは献立考えるの手伝ってくれたし、スーパーでの買い出しと調理は三橋に頼りっぱなしだった。オレ1人じゃまだまだ無理だ。」
阿部はそう言った。
「三橋、阿部に頼られたんか!スッゲーじゃん!」
田島はそう言ってニカッと笑った。三橋は顔を赤くして「ウヘヘ…」と照れた表情を浮かべている。
「じゃあ、これからも定期的にこの夕食作りイベントを開催しますか!頻度は月1とかでどう?」
ナマエがそう提案すると阿部は「おう、頼む」と返事をした。隣に座っている三橋もコクコクッと頷いている。
「なーなー!次はオレが食いたいもんリクエストしていいー?」
田島がそう言った。
「おっ、それいいね!人からリクエストしてもらって自分だったら選ばない料理を作るのもいい経験になると思う。」
ナマエはそう言った。
「三橋、次はオレに食材選ばせてくれ。で、お前はオレが良くないやつ選びそうになったらちゃんと止めろよ。」
阿部は三橋にそう言った。三橋は「わ、わかった…!」と言いながら頷いた。

 夕食を食べ終わった後は阿部・三橋・田島・ナマエの4人は使った食器や調理器具を洗剤で洗ってきちんと片付けをしてから三橋家を出た。田島の家は阿部・ナマエの家とは逆方面にあるので阿部とナマエは三橋家の門のところで田島とは別れることになった。
「田島君、気を付けて帰ってね」
ナマエは田島にそう言って別れを告げた。
「おー、そっちもな!じゃ、また明日!」
田島はそう言って自転車を漕ぎ始め、去っていった。
「オレらも帰るぞ」
阿部がナマエに声を掛けた。
「うん!明日も勝とうね!」
「おー、安心しろ。今回もお前らマネジの尽力を無駄にはしねェよ。」
「おっ、やはり阿部君は頼もしいですねー!」
ナマエはそう言ってすこしおどけてみせた。でも内心は阿部のその言葉がとても嬉しかった。
「君付けすんな、気持ちワリィな」
「えー、最初の頃は君付けで呼んでたんだよ。覚えてないの?」
「あの頃とは関係性が全然ちげーだろうが」
「どう違うのさー。私は今も昔も阿部君のことはお慕いしてますわ!」
「おっまえなぁ…、あんま調子乗ってるとまたデコピンすんぞ」
阿部は自転車を漕ぐ足を止めてナマエの腕を掴んだ。
「ぎゃー!やめてくださいっ!」
ナマエは阿部の手を振り払って自転車を走らせた。
「待てコラ」
「待ちませーん!」
そんな風に阿部とふざけ合っていたらあっという間に分かれ道に到着した。
「じゃ、阿部も気を付けて帰ってね」
「おう、じゃーな!」
阿部は自転車を漕ぎ始めた。ナマエはどんどん遠くなっていく阿部の背中が見えなくなるまで見届けた。それからナマエも再び自転車を漕ぎ始め、無事に家に到着した。帰宅後はすぐにお風呂に入り、翌日の試合に備えて早めにベッドに入った。

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