※注意:おお振りの原作沿いの名前変換小説(夢小説)です※
※注意:夢小説とはいえ特に誰かと恋愛する予定は今のところないです※

「おお振りの世界に異世界トリップ 第64章」


 ナマエたちが部員勧誘ポスターを掲示板に貼った日の翌日の昼休み、もりもりとお弁当を食べていた田島は口に入れたごはんをゴクンと飲み込んだ後、唐突に「そーだ、試験前休みになったらスカウト行こうぜ」と言い出した。
「スカウト……ってどこに?」
泉はポカンとしている。
ナマエとしのーかもがんばってポスター作ってくれたしさ、オレたちも部員集めのためにやれることやろうぜ。レンは遠いから無理だけど他のやつらは最低限自分の出身チームは勧誘に行こう。」
田島はそう言った。
「西浦に来いって声掛けんの?」
泉がそう言うと浜田は「でもうちスカウトするような有望な選手いるかな」と困惑したような顔をした。
「まぁ、オレ程度のやつならいるんじゃね?」
泉はそう答えた。
「孝介レベルなら有望でしょうよ」
ナマエはそう言った。泉はボッと顔が赤くなった。
「てか有望じゃなくてもいいんだ」
田島はそう言った。
「え?」
「なんで?」
ナマエと泉はキョトンとした顔で田島を見る。
「そりゃ有望な方がいいよ。だけどそんなこと言ってらんないと思う。」
田島がそう言うと泉とナマエは顔を見合わせた。思わず苦笑がこぼれる。ナマエは「たしかにね…」と言い、続けて泉が「……そうかもな」と答えた。
「同学年でも野球部入ってくれそうなやついねーか探してみたんだけど、中学の試合とかで会ったやつ全然いねぇんだよ。たぶん西浦の1年には中学で野球やってた男はオレらしかいない。」
田島はそう言った。
「マジか。西広は未経験だから、じゃあ9人でフルスペック?むしろよく1人残らず入ったな。1人欠けてたらだいぶ運命違ってたぞ。」
泉はそう言った。
「うわ、ちょっと、怖いこと言わないでよ。そういうや花井は最初野球部入るのやめるとか言ってたし、レンも野球部入部するか迷ってたよね。あの時、この2人を確保できてよかったーっ。」
ナマエはそう言ってハーッとため息をついた。
「今の2年なんか、中学で野球やってたやつオレ含めて4人しかいないぞ」
浜田がそう言った。
「なんで知ってんの?」
田島が浜田に訊ねた。
「なんか中学の時の部活は何かっていうデータ表があるらしいんだよ。バスケ部は合格決まったら4月までの間にそのデータ見てDM出すんだってさ。オギノン(※女子バスケ部の顧問教師)から聞いた。」
「それ野球部もやろう!」
田島がそう言った。
「私、あとで志賀先生に話しとくね!」
ナマエはスマホのTo Do Listに"志賀先生に野球部DMについて依頼する"というタスクを追加した。
「オギノンが言うには、"昔は中高生の1/3が野球部員だったのに少なくなったねー"ってさ。んで、西浦はサッカー部がおととし全国行ってるから男子は今は元サッカー部のやつらが多いんじゃない?」
浜田がそう言うと泉は「それ聞くとホント緊張感あるな」と神妙な顔をしていた。
「何もしなかったら新入部員ゼロだってありえない話じゃないぞ。タカヤが怪我した時だって大変だったろ?このまま来年もこの人数じゃパッツンパッツンすぎんだよ。2人インフルになったら棄権するしかねえとか。」
田島はそう言った。
「わかった!働きアリって2割働いてないらしいけど、そいつらっていざって時のための余力なんだよな。」
泉が例え話を持ち出した。
「そうそう、5万4千8百円稼いだからって全部使っちゃうと何かあった時に、どーにもなんねんだ。貯金がないとダメだな!」
続けて浜田もお金に例えた。
「そーゆーことだ!だからスカウト行くぞ!」
田島がそう言うと泉は「おうっ!」と返事をした。
『そういや前に隆也と話した時に後輩に声掛けてみるって言ってたけど、ちゃんと連絡とってくれたのかなぁ』
ナマエはぼんやりとそんなことを考えた。

 その日の部活終わり、田島がモモカンにスカウトに行きたいと提案したところ、モモカンから「私もこの試験休み中に回ろうと思ってたとこだよ」と回答があった。そしてモモカンはスカウトに行く選手に同行すると言った。
『モモカンの人を惹き付ける能力は群を抜いているからな!モモカンが行くとなりゃ、かなり期待できる!』
ナマエはそう思って小さくガッツポーズをした。
「監督!声かける選手の基準はどう考えますか?」
田島が訊ねた。
「うん、基本的には来る者拒まず、去る者は 逃 が さ な い !」
モモカンはそう言って右の拳をギュッと握りしめた。その迫力に選手たちはみな青ざめている。
『さすがモモカンだわ…ハハ…』
ナマエは苦笑した。
「受験の壁があるから来たいと言ってくれても入れるとは限らない。でも西浦を受験するかどうかは本人の判断次第だから誘って受験落ちたらどうしようって責任感じることはないと思う。偏差値足りない子がウチ目指して勉強するのは悪いことじゃないしね。まあ、実際のところ、この時期は志望校はほぼ決まってるよね。そこで狙ってほしいのは西浦も候補の1つだけど何らかの理由で決めかねてる子!あなたたちが夏に1年生だけで県ベスト16に入ったこと、後輩たちは当然知ってるよね。オレも西浦に…と考えた子は少なからずいたと思う。ちなみに後輩からそういう連絡をもらった人は……いない?」
モモカンがそう言うと阿部が手をあげた。
「オレ、前に自分から後輩に連絡しました。西浦興味あるって言ってるやつ、何人かいましたよ。」
阿部がそう言うと続けて花井も手をあげた。
「オレも中学の後輩たちに"よかったら西浦に来てほしい"ってグループLINEで連絡はしたッス」
「そうだったの。ありがとう。他の人は来てないかな?まぁ…見に来てみればグラウンドは狭いし監督は女だしまぐれだったと考えるかもしれないね。西浦の昔からのイメージで自由な校風を嫌う親御さんもいるし、人によっては私服通学がネックになることもある。そういうとこで迷ってる子を見付け出して、"一緒にやろう"って声を掛けよう!」
モモカンがそう言うと選手たちは「はいっ」と元気に返事をした。
「他に何かある人はいる?」
モモカンは部員たちに訊ねた。ナマエは「はい」と手をあげた。
「志賀先生にご相談なんですが、受験に受かって入学が決まった新入生の中学時代の部活が何かっていうデータ表があるって本当ですか?女子バスケ部の顧問の先生はそのデータをもとに3~4月頭までの間に経験者にDMを出して勧誘するって聞きました。うちもそれできませんか?」
「ああ、そういうデータがあるっていう話は耳にしたことあるよ。明日にでも荻野先生に確認してみるよ。できそうなら野球部も真似させてもらおう。」
志賀先生はそう言った。
「ありがとうございます」
ナマエはそう言って頭を下げた。

 さらに翌日、ナマエは部員勧誘用ポスターを大量に印刷して選手たちに10枚ずつ配布した。
「スカウトに行く時にこれも持っていって後輩たちに配ってきてね!絶対だよ!」
ナマエがそう言うと選手たちはナマエの迫力に慄きながらも「お、おう。わかった…!」と返事をした。それからナマエは浜田に夏大の応援に来てくれた生徒たちの中で部活に所属していないと思われる人たちの情報を教えてもらった。そしてナマエは篠岡と一緒にその人たちのところに足を運び、作成したポスターを手渡していった。
「さて、マネジのうちらにやれることはこのくらいかな」
ナマエはそう言った。
「そうだね、あとは選手たちにスカウトがんばってもらおう」
篠岡はそう言って微笑んだ

 もう11月も下旬だ。気温は日に日に下がっていく。夜遅くまで部活をやっている野球部員たちが帰る頃にはヒューヒューと冷たい風が吹く。
『そろそろ冬用のコートを出そうかな』
ナマエはそんなことを考えながら夜空を見上げた。そしてはたと気が付いた。
「もうすぐお兄ちゃんの命日だ…」
そう気づいたら胸の奥の方がズンッと重くなるような感覚がした…―――

<END>