※注意:おお振りの原作沿いの名前変換小説(夢小説)です※
※注意:夢小説とはいえ特に誰かと恋愛する予定はな…かったのですが徐々に恋愛要素出てきてます※

「おお振りの世界に異世界トリップ 第70章」


 1月2日、西浦高校野球部では早速今日から練習再開だ。朝7時半過ぎに裏グラに集合したナマエは倉庫で運動着への着替えを開始した。そこにコンコンッとノックの音が鳴る。
「はーい、開けていいよ」
ナマエがそう言うとカラカラッという音とともに扉が開いた。篠岡が立っている。
「おはよう、ナマエちゃん。あけましておめでとう!」
「うん、あけましておめでとう!今年もよろしくね。」
ナマエはそう言ってニコッと笑った。篠岡とナマエが着替えを終えて外に出るとモモカン・コーチ・志賀先生が既に集まっていた。
「「あけましておめでとうございます!」」
篠岡とナマエはそう言って3人に頭を下げた。
「うん、おめでとう。今年もよろしくね。」
モモカンが返事をした。

 それから程なくして選手たちが裏グラに到着した。先頭を走るのはもちろん田島だ。その後ろを三橋が追いかける。そしてそんな三橋を見張るようにして後ろをついてくるのが阿部だ。これが西浦高校野球部のいつもの姿だ。ナマエは普段通りの西浦ーぜを見れてなんだか微笑ましく思った。
「おめでとう!」
モモカンがそう言うと選手たちは脱帽して「あす!」と返事をした。そしてさっそく初詣に行くことになった。
ナマエちゃんは元旦休み何してた?」
隣を歩く篠岡がそう言った。
「お雑煮作って、お年玉貰って、おせち食べて、あとは映画観に行ったよ」
「映画!何観たの?」
「ディズニー映画の新作」
「あー、あれ私も気になってるんだよね。よかった?」
「すっごい良かったよ。感動して泣いちゃった。」
篠岡とそんな会話をしているとあっという間に正樹院に到着した。
「私、お寺に初詣来るの初めて!」
ナマエがそう言うと篠岡も「私もだよ。いつもは神社行っちゃう。」と返事をした。野球部員たちは初詣のために並んでいる他の一般客の後ろに並んだ。そしていよいよ自分たちの番になるとお賽銭を投げ入れてから"本堂参拝の作法"と書かれた小さな看板をみんなで覗き込んで確認した。どうやら手を合わせて10回"南無阿弥陀仏"と声に出して唱えるらしい。最後の"南無阿弥陀仏"でお辞儀をするそうだ。作法に従って野球部全員で声を揃えて"南無阿弥陀仏"と唱えた。
「南無阿弥陀仏って唱えてるとなんか無心になれるね」
ナマエは隣にいる篠岡に向かってそう言って笑った。
「わかる!」
篠岡もそう言って笑った。

 初詣を終えて裏グラに帰ってきた選手たち+マネジの2人は円陣を組むことにした。
「初円陣っ」
花井がそう言った。
「初声出しー!」
水谷はヘラッと笑いながら花井に号令を促した。
「おーし!全部勝つぞ!やるぜ、全国制覇!」
花井がそう言うと他のみんなは「おおー!」と言いながら両サイドと手を繋いで上に掲げ、バンザイのポーズを取った。背の高い選手たちに挟まれたナマエは必死に背伸びをして対応した。
「あー、あのまま持ち上げられるかと思った」
円陣の後でナマエがポロッとそんな感想をこぼすと篠岡はアハハッと可笑しそうに笑った。

 選手たちが瞑想と心身のアップを始めると、ナマエと篠岡は手分けして水撒きとジャグのドリンク作成を行った。その後は阿部と三橋はブルペンで投球練習、その他の部員たちはティーバッティングを開始した。どちらの練習もナマエたちマネジが手伝うことは特にない。今はオフシーズンなので他校の情報収集もできない。ティーバッティング中の選手たちがボールを使っているのでボール磨き・修理もできない。
「じゃ、備品棚卸しと掃除・整理整頓でもやりますか!」
ナマエがそう言うと篠岡は「そうだね」と言った。ナマエたちはまずは備品棚から物を全部外に運び出した。そして濡らした雑巾で備品棚の埃を除去する。それが終わったら外に運び出した備品たちもタオルで拭いたりしながら同時に在庫チェックを行った。それから運び出した備品を棚に戻していく。備品棚の整理が終わったら、ナマエたちがいつも着替えに使っている倉庫にある道具も同様に運び出して倉庫の掃除・道具の手入れ・在庫チェックを行った。そして最後はベンチ周りをホウキとチリトリと雑巾でキレイに掃除した。ちなみに今日と明日も午後から郵便局のアルバイトがあるので練習は午前で終了だ。締めのあいさつのために部員たちはモモカンの周りに集まった。
「初練習おつかれさまでした。お正月をまたぐと気持ちが引き締まるね。年が替わって、残り時間が刻々と減っていくのも感じるし、このチームが今年どこまで通用するのか早く試したくてワクワクするね!ところで高校入試の期間1週間は学校に入れないのでその期間の過ごし方は各自に任せます。休んでもいいし、遊んでもいい。もちろん勉強するのもいいよねっ。私はこの間のことについてはチェックしないので自分で考えてやること決めて実行してください。どんなスポーツでも考える力はとても大事だよ。グラウンドで1人1人が自分で考えて動けなくちゃいけない!だからその訓練!私の評価ではなく、チームが勝つために自分が何をするべきか考えて!」
モモカンがそう言うと部員たちは声を揃えて「はい!」と返事をした。

 その後ベンチでお弁当を食べた後は13時から郵便局のアルバイトを開始した。
『入試休み…何して過ごそう。チームが勝つために何をするべきかと言われても今の時期はシーズンオフだから他校も試合やってないし情報が手に入らないんだよな。こっそり他校の偵察に行くとか?いやでも他行でも同じ時期に入試休みで学校は入れないよな…。野球のルールについておさらいするか?はたまた過去の高校野球の試合映像をネットで探して見てみる?図書館に行って過去の新聞をチェックさせてもらうのもありかな?いや、昔の情報なんて手に入れてもあんまり意味ないか…?』
ナマエは郵便局の作業をしながらそんな風にあれこれと入試休み中の過ごし方について思案してみたがいいアイディアは浮かばなかった。

 翌日1月3日、郵便局のアルバイトは今日で最後だ。午前中の練習を終えた部員たちはベンチでお弁当を食べ始めた。巣山が自分で作ったおせちの残りをみんなに振る舞ってくれた。とてもおいしいし、見た目もキレイだ。
「あ、入試休みの事なんだけど、崎玉はどっか1日全員で浦安の夢の国に遊びに行くんだってさ」
花井が唐突にそう言った。
「えー、いいな!夢の国行きたいっ。しばらく行けてないよ!」
ナマエはディズニーリゾートが大好きなのだ。
『西浦でもみんなで行けないかな…?』
ナマエはそう期待した。…が、西広に「楽しいだろうけど、仕分けのバイト代全部飛ぶね」と釘を刺された。他の選手たちも「そだなー」「小遣いで行くにしても複雑だよな」と同意している。ナマエはガクッと項垂れた。
「じゃー、完全に自主練な感じ?」
水谷がそう言うと阿部が「あ、手伝ってほしいことあんだ」と言い出した。阿部の話によると入試の日程は県によって違うから埼玉が入試休みの時でも他県なら普通に練習をやっているんだそうだ。それで阿部としては野球が強い神奈川の学校の練習を見学させてもらいたいという考えらしい。
「おま…っ、なんて建設的なっ」
花井は驚きつつも阿部に感心しているようだった。
「横浜に遊園地あるよな?」
泉がそう言った。
「あるね!コスモワールドもあるし、シーパラもあるよ!」
遊園地と聞いたナマエはガバッと顔を上げながらそう言った。
「どっちも入園料ないんだよね」
栄口がそう言った。
「帰りにそゆとこ行くのはOK?観覧車乗ったりとか…。」
花井がそう言うと西広は「そのくらいなら気が咎めないよね」と返事をした。
「よっしゃ、横浜ー!!」
花井はそう言って立ち上がった。
「横浜ー!!」
ナマエもそう言って右の拳を上に突き上げた。水谷も「なんかすごい楽しみ!」と言って頬を赤く染めている。
「あ、ナマエ!篠岡!」
阿部が突然マネジ2人を呼んだ。
「何?」
ナマエがそう言うと阿部はスマホを取り出した。
「いいアプリ見つけたんだ。これ。」
そう言いながら阿部は立ち上がって篠岡とナマエの方へ歩いてきた。篠岡とナマエもお弁当をベンチに置いて立ち上がる。
「スコアはもちろん、球種・コース・打球の方向とか色んなことが結構細かく入力できて集計もしてくれるんだ」
阿部はそう言って篠岡とナマエにスマホを見せた。
「ええ、何これ!すごっ!」
ナマエはそう言った。
「うわっ桐青戦入ってる!?」
篠岡がそう言うと阿部はドヤ顔で「入れてみた」と答えた。
「アカウント共有しようぜ。メールは捨てアド作っといた。LINEでパスワードとサイトのURL送る。」
「うおお、隆也やるなァ!」
ナマエはそう言って阿部の背中をバシバシ叩いた。阿部に「ヤメロ」と怒られた。
「下が入ったらデータ班作りてェよな」
「いいねェ、それ!」
篠岡はそう言って嬉しそうにしている。
「そだね!効率化のためには分業って大事だよね!」
ナマエもそう言って満面の笑みを阿部に向けた。
「お前ら2人であんな立派な資料作ってたんだもんな。大変だったよな。これで多少は楽になるんじゃねーかな。」
阿部はそう言って珍しく優しい微笑みを浮かべた。篠岡はボアッと顔が赤くなった。
『あー、やっぱ隆也かァ』
ナマエは篠岡のその様子を見て篠岡の好きな人は阿部だろうという確信を強めた。
「人が増えりゃもっとチェック項目増やせるよな」
「うん、今は打者の姿勢とか構えの足とかはスコア表担当じゃない方がチェックしてるけどランナーの動きまでは見る余裕ないんだよね」
篠岡はそう言った。
「あと外野の守備位置とかもチェックしてーよな」
「あー!そうだねっ。」
篠岡と阿部の会話は珍しく盛り上がっていた。ナマエは静かにその様子を傍観することにした。
「あ、そだ。田島君のお兄さんの講習会の話しなきゃ!ね?」
篠岡はそう言ってナマエの方を見た。
「あー、そうだね。みんな聞いてー!あのね、審判講習会でやりたい項目を崎玉の分も含めてまとめたんだ。今からグループLINEに送るから目を通してください!」
ナマエは選手たちに大きな声で呼びかけた。
「あと他にも訊きたいことあるならリストに追加するから教えてください」
篠岡が補足説明をしてくれた。
「それから…悠一郎!お兄さんに空いてる日程訊いといてくれた?」
「おう、1月半育休取ってるからその間はいつでもいいってさ」
田島がそう言うと篠岡が「育休中なのにいいの?」と質問した。
「うん、数時間ならいいって嫁のユズさんから許可が出た」
「それはありがたい。実はこっちの空がピンポイントなんだ。」
篠岡はそう言ってスケジュール帳を開いた。実はスケジュール管理は2人で別々にやると連携を取るのが大変なので篠岡が専門で管理することになっている。なのでナマエは黙って篠岡の話に耳を傾けた。
「建国記念日かその次の土日どっちかがいいんだけど、私は崎玉さんにもそこの日程で訊いてみるから田島君はお兄さんに確認取ってもらってもいい?」
篠岡がそう言うと田島は「わかった」と返事をした。そして続けて口を開いた。
「しのーかってなんでマネージャーになったの?」
「へ?」
「中学はソフト部だったんだろ?」
「あー、そゆこと」
篠岡はそう言うと自分の母親が高校時代に野球部のマネジだったことやそれに影響されて自分もやりたくなったこと、中学のソフトボール部は野球のルールを知るために入ったことを説明した。選手たちはそれを聞いて「そうなんだぁぁ」と驚いていた。ちなみにナマエは篠岡から既にこの話を聞いたことがあるので聞き流していた。
「じゃあ、今憧れだったマネジやれて想像通りで楽しい?」
栄口が篠岡に訊ねた。
「うん、楽しいよ!大変なこともあるけどナマエちゃんもいてくれるし!」
篠岡はそう言ってニコッと笑った。
「このマネジ業務を1人でこなすのは相当キツイもんね。私も千代ちゃんがいてくれてよかったよ。」
ナマエは篠岡にそう話しかけながら『でも本来のおお振りではこれらのこと全部を千代ちゃん1人でこなしてたんだよな…』と考えてゾッとした。

 午後は最後の郵便局のアルバイトを黙々とこなした。ナマエは結構この仕事が楽しかっただけに今日で終わってしまうのは正直少し寂しい。
『でも、今年だけじゃライト代全然足りないから来年もやらせてもらえるよね。また来年もがんばろう!』
ナマエはお世話になった郵便局の職員の方々にあいさつをしてから郵便局を後にした。篠岡と一緒に外に出るとそこには崎玉の選手たちと西浦の選手たちが集まっていた。
「あらら、すっかり仲良くなっちゃって」
ナマエが渋い顔でそう言うと篠岡は「ナマエちゃんはまだ悔しいのねェ…」と苦笑した。崎玉の選手たちとは「それじゃ、また審判講習会で!」と言って全員でお辞儀をしてから別れた。

 年末年始の間に稼いだアルバイト代は花井からモモカンへと進呈された。アルバイト最終日の翌日から冬休み最終日までの間は西浦高校野球部は夏休みと同様に朝から晩まで練習に明け暮れた。

いよいよ3学期が始まる!

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