ソフのたまねぎ ※本サイトは各作品のネタバレを含みます

おおきく振りかぶって 原作漫画感想 2巻 <第3回


<第3回 / あらすじと感想

三星のノックの様子を眺めてる三橋
三橋『もうすぐ畠君達に向かって投げるのか…シートバッティングでだって抑えられたことないのに今日は真剣勝負。オレが打たれたらチームが負けちゃうんだ』と緊張の面持ち。
ここで阿部は今回打順3番なのでキャッチボールは泉と交代することに。
三橋『阿部君は勝てるって言ったんだ!』と決意を新たにする。

ベンチに戻ってきて防具を外す阿部に花井が話しかける。
花井「"この試合に勝ってはじめて三橋が仲間になる"か。三橋って確かに中学時代から脱出してない感じだよなァ」
いやあなたもつい一ヶ月くらい前まで中学生でしたよね?高校生になったからってそんなすぐ変わらないのが普通じゃね〜と思ったのは私だけですか?特に三橋みたいな中学で強烈なトラウマ植え付けられた人間はそう簡単には脱出できないよ。
花井「三橋ってたぶんチーム内でスゲエ嫌われてたんだろうな。接し方が元チームメイトとは思えねえよ。向こうはシカトだし、こっちは避けまくってるし」
阿部「ま、あいつのしたこと考えりゃ当然かもね。相手には恨まれてるだろうし、三橋も恨まれて当たり前だと思ってる。」
そうかなぁ?そんな「恨まれて当然」なんて言われるようなこと、三橋した?だって三橋はちゃんと配給組み立てさえすれば現時点でも花井に3打席勝負に勝てるだけの実力があるんだよ?三橋の9分割のコントロールや3種類の変化球を活かす配給をバッテリーで考えてたら、負け続けるなんてことはなかったんじゃないの?それを放棄した畠にも責任があるとは思わない?
それに投手が打たれても野手がカバーすればいいじゃない。野手はちゃんと守備やってくれてたの?
あとは守備で点を取られても、攻撃でそれ以上の点が取れれば勝てるわけだし、投手が打たれたせいで負けました、負けたのは全部投手のせいっていうのはおかしくないか?野球は投手の力だけで勝敗が決まるスポーツなの?違うでしょ。
それに三星メンバーは三橋が監督にヒイキされてたって言うけど、私からしたらじゃあお前らは叶をヒイキしてんだろ。叶をヒイキしたい気持ちがいっぱいで三橋の努力や実力を客観視できてなかったじゃない。それだってヒイキだろ。
まー、三橋は練習試合も全部マウンド譲らなかったらしいからそれはさすがにやりすぎだとは思うけど…でも三橋が恨まれて当然っていわれるのは私は納得できないや。てか恨む相手がおかしくね!?恨むならヒイキでエースを決めた監督を恨めよな。監督が三橋をエースに選んだのに、投手やりたい三橋に自分からマウンド降りろって酷な話だよ。三橋のエースが不満なら、抜擢した監督に物申して叶の方がエースにふさわしいって説得してみせればよかったんだ。それができないのを三橋のせいにすり替えるなよ。
巣山・水谷・栄口も花井と阿部の会話に耳を傾け始める。「三橋は元チームメイトへの罪の意識でイッパイで学校変わった今でもあいつらにひれ伏したままなんだ」と阿部は説明する。水谷は「このチームにひれ伏してても公式戦では当たらないからいいけどねー」と答えるが阿部は「よくねえよ」と否定する。
阿部「あんなんがマウンドにいちゃ勝てる試合も落とすっつの!なあ!?」
阿部の勢いに押されて、面食らいながら「うんうん」と頷く栄口・沖・巣山。
阿部「あのやっかいな性格の基を作ってるのは中学時代の暗い思い出なんだよ。この試合に勝てば三橋は一歩踏み出せると思う。あいつのためにこの試合どうしても勝ってほしいんだ!頼む。」
阿部が真剣な面持ちにベンチの空気がピリッと引き締まる。
花井「お前の言うことはわかったよ。今日は"ただの練習試合"じゃなく、"うちの投手の将来が決まる試合"だと思えってことだな?」(『いつの間にか随分と三橋を気に入ったんだな』と内心考えてる)
頷く阿部。顔を見合わせる水谷・栄口・田島。
栄口「よくわかったよ。気合入れるよ!」
巣山・沖・田島「うん、わかった!」
田島「テンション上がった!」、花井「先取点いれよー!」とベンチの雰囲気が盛り上がる。
モモカンは三橋のために動いてる阿部を見て『これは二人でいなくなってた間に絶対なんかあったぞお』と勘付いてゾクゾクしてる。『うちにとってこの試合、もっと大きな意味を持つかもしれない…!』と期待に身体を振るわせるモモカン。

栄口はネクストバッターサークルで『阿部のセリフあとで三橋に教えてやろ。あいつ感動してそれだけでオドオド病が治っちゃうかも……』と考えながらフフッと笑う。
栄口君、いい人…!

【1回表、西浦高校の攻撃。】

【打順】
1番:栄口(順位4位)、2番:沖(順位6位)、3番:阿部(順位7位)、4番:田島(順位1位)、5番:花井(順位2位)、6番:巣山(順位3位)、7番:泉(順位5位)、8番:水谷(順位8位)、9番:三橋(順位10位)

1番セカンド栄口
初回セーフティバントを狙う栄口。サードが定位置にいることを確認して上手にバントし、サード前に転がす。しかしサードではなく投手の叶が球を処理してファーストへ送球。栄口、アウト。一死。
栄口は『完璧サードに捕らせたと思ったのに』と驚いてる。
2番ファースト沖も振り遅れてサードゴロでアウト。二死。
3番キャッチャー阿部は1球目を見て『球速は120ってとこだな。1年の春でこれなら合格点だよな。』と冷静に分析(見送りストライク)。2球目も見送りストライク。3球目は遊んでボール球。2-1の状態で4球目はフォーク、を空振り。
阿部『ストライク先行だし、サインに首振らないし、決め球もある!まあ確かにいい投手だな…!』と叶を評価する。
三死なので攻守交代。ベンチに戻ってきた阿部に防具を渡す三橋。阿部の脚にレガースをつけつつ、阿部の後ろに隠れる三橋。その心理に気付いてる阿部。
阿部「マウンドには隠れる場所ないんだからな。他全部やってやるからお前は一生懸命投げるんだぞ!」
阿部がグッと握りこぶしを見せる。覚悟を決めた三橋、マウンドへ向かう。三星の元チームメイトは出てきた三橋を見る。『きっと今三星の皆にニラまれてる』と自覚する三橋。『でもマウンドに隠れる場所はないんだ。一生懸命投げるよ、阿部君!』と決意を新たにする。

【1回裏、三星学園の攻撃。】
1番宮川
まずは中学時代の三橋とは違うという印象を与えるために1球目、全力投球の速い球を投げる。全力投球はまだコントロールがうまくできないのでインの高め、宮川の顔の近くに飛んでしまう。避ける宮川。ボール球だったがスイングを取られてでストライクに。
三星のベンチからは「避けすぎ」「当たっても痛くねーぞ」と声掛けがあるが、宮川は『ミットがいい音してるし球も早くなってる』と考える。阿部の狙い通り。
三橋はコントロールがうまくいかなかったことでオドオドしてるが、阿部からの「ナイスボール!」の声掛けで『全力投球が入らないのは阿部君の計算のうちだからだいじょうぶ!』と気を持ち直す。
2球目インの低めにスライダーを外す。これはストライクゾーンの高さからボールに変化する球。宮川は阿部の思惑通り、イン低めに入ってると思ってスイングするが変化して落ちたことでピッチャー前ゴロになり、易々とアウトをとる。一死。栄口は三橋の送球裁きをみて『さすがマウンドには慣れてるや。三橋も結構サマになってるじゃん!』と評価は上々。
三橋がマウンドで慣れた様子で落ち着いてプレイしてるのを見ると三橋って投げるだけじゃなくてマウンドでの守備の動き方をちゃんと知ってるんじゃん。投球だけが取柄じゃないんだって嬉しくなるね。

三星のベンチでは織田が三橋を観察してる。『球遅いしコンロトール悪いしホンマにヒイキやったんやなァ』と思ってる。
なんだ織田、関西から引っ張られて入ってきた期待のスゴイ選手だって聞いてたけど、三橋が敢えてボール球で打たせて取るタイプの投手だってことも気付けないのか。大したことないな。
2番柊もアウト。二死。
叶は織田に「三橋の球、織田には打ちにくいかもよ。三橋の球打っておくのもいいと思うよ」とアドバイスをする。織田は叶の言葉の意味を図りかねるが、1個楽しみができてよかったと喜ぶ。。
3番吉アウト。三死で攻守交代のため織田の打席は次の攻撃までお預け。
阿部は三橋を見てサムズアップをしてみせる。三橋もサムズアップで返す。

【2回表、西浦高校の攻撃。】
4番サード田島
阿部は『このレベルなら完封させてやれる。あとは点だ、打てよ田島』と田島に期待する。
田島は1球目も2球目も見送り。そして3球目は遊び玉。4球目のフォークでついに田島が動く。
打席の一番後ろで構える田島に、『そんなんじゃ打てないよ』と畠は考えるが田島は器用にステップしてジャストミート!
田島「ほらねーーー!!」
レフトセンター前に落ちた打球は送球が間に合わず、ツーベースヒットとなる!ガッツポーズの田島。ベンチでは部員が話し合ってせーのって「ナイバッチー!!」の掛け声が響く。モモカンはチームの形が出来上がってきたことにゾクゾクしながら喜びを堪能してる。

5番ライト花井
ノーアウトランナー2塁というなかなかいいチャンス。
送りバントの指示が出るかと思いきや監督からは打て!のサイン。
花井は自分には田島みたいな技術はないと考えつつもライバル視する気持ちが抑えきれないようでつい田島と張り合ってフォークが来るカウントまで1〜3球目を見送ってしまう。4球目フォークを花井は打てず、アウト」。1死・2塁。
ここでモモカンから「田島君はとびぬけた野球センスをもってるけど、大きな体をもってない。つまりホームランが打てない。それはつまり彼一人では点を入れられないということだよ。点を取るにはあなたたちの力がいるの!そのことをよく覚えておいてちょうだい」と忠告が入る、花井は『ランナーを進めるためにフォークを待つんじゃなくてもっと確実な方法があった』と気付く。『次はストレート狙う!!』と決意を新たにする。
6番ショート巣山と7番センター泉はあっさりアウトになったようで、ここで攻守交代。

【2回裏、三星学園の攻撃。】
4番ファースト織田
織田は球遅すぎるから打ちにくいんってことかなと推測。4番打者織田との対決の前に阿部が三橋によってきて「走者のいないこの打席で4番のデータを取りたいから、色々探り入れていくので打たれるかもしれないけど動揺すんなよ」とフォローを入れる。
1球目は打者の動きをよく見るためにインハイに真っすぐを外す。インか好きどうかも確かめられる。まったく動かずにしっかりボールを見る織田。2球目インローに外すまっすぐ。これも全く動かない織田。織田は三橋の"まっすぐ"の特異性に気付いたがその正体がまだ掴めないでいる。阿部は三橋のまっすぐを2球連続見られたことが気になる。『これはきっと"見ろ"って指示があったんだ。三星にも三橋のまっすぐの特殊さに気付いている奴がいる!それならば何球も見せてやることはない』と3球目は外のカーブでストライク。ぎりぎりのところに決まってストライク。カウントは1-2。
4球目もカーブ、織田はストレート狙いだったがフォーム崩して3塁側ファールボールへ。青ざめる三橋の心を見透かす阿部。強い球を返球して暗に『ビビんなよ』と知らせる。それを思い出して落ち着く三橋。
三橋『強い打者となら何度だって対戦してる。いつも一人でビビり」まくってた。今は一人じゃない!』
ここで織田から「まっすぐ放ってぇな。打たへんから」と謂れた阿部。そんなこと言われてわざわざ決め球のまっすぐを見せてやる阿部ではないので4球めはイン低めにシュート。微塵も動かなかった織田。「打たへん言ったのにドケチ」と言ってバッタボックスから去る。
バッタボックスからベンチに帰った織田、叶と三橋のまっすぐについて話し合う。

5番キャッチャー畠
畠の好きな腰元インコースにシュートを投げて、ストレート狙いの畠の芯を外す。結果ピッチャーフライ。
フライで落ちてきた球をパンッと横キャッチする三橋がカッコいい。
阿部は畠を『3年受けててまっすぐかシュートかもわかんねえのか。一番厄介だと思ってたけどこのまま三橋を舐めてるなら怖くねえ!』と畠を評価。これで二死。
いや、ホント、打席でまっすぐかシュートかも判断つかねえ男がよくノーサインで三橋の球キャッチしてたよね?

三星のベンチでは相変わらず織田と叶が三橋のまっすぐについて話し合ってる。三橋のまっすぐはくせ球で、中学時代もあの球で結構相手を空振りさせてたらしい。織田が「今日は打てないのはなんで」と訊くと叶は「それはキャッチャーのせいだろうな。皆狙い球キャッチに読まれて打ち取られたんだ」と。ここで織田が「「大体オレ打たへんからまっすぐ放らしてってキャッチに言ったしな」と答えると叶の顔がこわばる。
叶「織田、勝つ気ねぇのか」
織田「いやいつでも打てそうやし」
叶「お前まで三橋をなめんのかよ」
いつになく真剣で厳しい口調に戸惑う織田。叶は「4番のお前がそんなんじゃまた三橋に負けちまう」と嘆く。織田じは「またって中学のことはヒイキだったんだろ?」と織田は言うが「そんなの畠が勝手に言ってるだけだ」と譲らない叶。ここで「オレは三橋に勝てる気がしない…でもそんなこと言うヤツはマウンド上る資格ねえのもわかってる!」と三橋への劣等感を語る叶。「三橋と投げ合う機会なんてもうない!この試合でオレを三橋に勝たしてくれ…!!」

6番バッターアウトで三死、守備交代。思わずガッツポーズをした三橋、『しまった、調子乗っちゃって、誰にも見られてないよね』とびくびくするが、そこに栄口や巣山から「ナイピッチ!」の掛け声をもらって嬉しくなる三橋。阿部もベンチに戻りながら「いい調子だぜ」と声をかける。
三橋「阿部君、オレピッチャー楽しい。マウンドが楽しい…っ。また登りたいっ」
顔を真っ赤にして勇気振り絞って言う三橋。阿部は笑顔で「オレもキャッチャー楽しいよ!」と答える。
おおっ、珍しい!さわやかな笑顔の阿部君だ〜
モモカンには「まだ試合は序盤、ホントに面白いのはここからだからね!」と返される。
三橋『まだあそこでいっぱい投げられるんだ!』と期待に胸を膨らませる三橋。

<第3回終了>