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おおきく振りかぶって 原作漫画感想 3巻 <第7回


<第7回 / あらすじと感想

阿部の「最低の投手」という言葉に戸惑う三橋。
三橋『栄口君がスゴイって言ったのに、シニアで関東ベスト16で、阿部君が組んでた投手なのに、なんで最低なんだ!?』

モモカンが試合中にやることがあると宣言する。篠岡にスコア票を配らせる。どうやら3回まで試合を観戦・分析し、4回以降の試合展開を予想するゲームをやるとのこと。皆の予想を後ほどモモカンが総合的に判断して順位を決めるらしく、上位3人にはおいしい高級プロテイン、中位4人にはふつうのプロテイン、下位3人にはまずい高級プロテインを一ヶ月分プレゼント!!…と、ここで巣山が「ふげえっ」ととんでもない声を出す。驚く阿部と花井。巣山は青ざめながら「あ、あっ、アレ知ってるっ知ってるようっ」と激しく動揺する。
このコマの驚いてる阿部の顔がスキ。普段は阿部が大声で周囲を驚かせてるけど、珍しく今回は阿部が驚かされてるのが良きかな。
巣山「監督!もーしわけないんスけどオレ神様にあのプロテインは二度と食わないって誓ってしまったんです!!勘弁してくださいっっ」
身を乗り出して頭を下げる巣山。いつも冷静な巣山のあまりの取り乱し様に泉と水谷もビビる。水谷は「もらったって食わなきゃいい」というがモモカンは「部活中に必ず食べましょうねェ」とダークな笑顔を見せる。全員青ざめる中、田島がなんと勇猛果敢にまずい高級プロテインの味見をしたいと言い出す。パクッと口に入れる田島。あまりのまずさに「ぶっえーっ」と吹き出す。田島の口を抑えて羽交い絞めにして無理やり飲ませるモモカン。ジタバタと抵抗していた田島はゴクンと飲み込んだ後グッタリとする。田島がおちた!!と他部員は青ざめる。巣山はもはや号泣してる。壊れた巣山の様子を見てる泉も涙目。
一体どんだけまずいんだ…そんなまずいプロテインって実在するの?
水谷「監督は参加しないんですか、ズルイ!11人分のプロテインを用意すればいいのに」
勇気を出してモモカンに抗議する水谷。しかしモモカンが予算が足りないことを示唆。モモカンの自腹で買ったプロテインだと知った部員は「それじゃ、なんか、なんも言えない…」と黙る。巣山だけは「ふつうのプロテイン買ってくれればいいのに〜安いし〜」とまだ泣いてる。
モモカン「ほらほら!守備練見なくていいの!?」
プロテイン争奪スコア予想ゲームスタート!

武蔵野第一の先発投手は6番加具山。
春日部市立高校野球部も観戦に来てる。どうやら前の秋大で武蔵野第一と対戦した時に先発投手の加具山から2点取ってその後4回からリリーフした榛名からは一本も打てなくて3−2で負けたらしい。

桐青高校も観戦に来ている。榛名を見に来たのに投手が加具山で不貞腐れる利央、「榛名が投げないなら寝る」と横になる。和己が叱るが利央は「オレはまっすぐ練習行きたかったのに榛名榛名ってみんなが言うからしょーがなく観に来たんだぞ。なのに榛名投げないなら明日の試合に備えて睡眠とる!!」と和己先輩の胸倉を掴む。胸倉掴まれた和己は「オレは3年生だぞっ」と呆れてる。
1年生に胸倉掴まれても怒らない和己先輩いい人だな。
準太は明日は準々決勝なんだから1年生の出番はないと言うが、利央はベンチ入りしてるんだから可能性はあると答える。「例えば今日和さんが車に轢かれれば」と言いかけた利央、首にかけてるロザリオを取り出し「ごめんばあちゃん今のはナシって神様に伝えてくれ」とロザリオに話しかける。
利央はクリスチャンなんですね!ロザリオ首から下げてるのカッコいい〜。厨二心をくすぐるよね。

モモカンは先ほど阿部が話していた相手が榛名だと知る。榛名は野球では無名だった武蔵野第一が秋に急成長した原動力らしいがモモカンは秋の試合は見逃したようでどんな投手か気になっている。
巣山は阿部に先ほど話していた人がライトの人だと気付いて阿部に情報提供を求めるが、阿部はプレー1年以上みてないから今はどうなってるかわからない旨を伝える。ちなみに昔は荒いバッティングしていたらしい。「ヒントなしか」と項垂れる巣山。泉は「投げたりしねーかな?」と訊くと阿部は「4回から投げる」と断言する。花井はなんでわかるのかと問うと阿部は「さっき聞いた」と答える。
栄口「なんで4回から?」
阿部「自分で厳密に球数制限してるんだ。シニアでは80球でやってたけど4回からしか投げないならまだ増やしてねェかもな
田島「ゲンミツってなんだっけ」
阿部「80球投げたらマウンド降りるんだ」
田島「え、絶対?」
阿部「絶対」
ここで以後、田島が口癖のように言う"ゲンミツ"が登場!
田島「打者の途中は?あと1球で試合終了だったら?」
阿部「満塁で2-3でも、敬遠の3球目でも、マウンド降りてく。そういうヤツなんだ!」
実際にそういう出来事があったからこう言うのよね?たしかにそれはちょっとどうかと思うわ…。
三橋は阿部がかつて"首振る投手は大嫌いなんだ"と言った時のことを思い出す。
田島「なんじゃそりゃ!」
「スゲーな」「それで許されてたんだ!」「ってことはそうとう…」「いい投手?」と西浦メンバーが口々に言う。
阿部「球は速いよ」
三橋はそれを聞いてズキッと胸が痛む。田島は打者としての闘争心に火がついたようで「なにっ燃える!!」と盛り上がる。
三橋の心境は、例えるなら、自分の恋人の元カレor元カノがすごい人だった時に『じゃあ自分はその人と比べられて前の恋人より劣るってきっと思われてるだろうな』って勝手に想像して勝手に傷ついちゃった、みたいなものでしょうかね?

いよいよ試合開始。
加具山、初球から打たれる。その様子を見てる春日部市立の鈴木涼はなぜ榛名が初回から投げないのかと疑問を呈する。柴先輩は「ベスト8からは実力がグッと均衡するのだから投げられるなら榛名が初回から投げるべきだろうぜ」と言う。鈴木涼も「力温存していい試合じゃないでしょうね」と答える。

同じく観戦中の西浦側では田島が榛名の速い球を見たくてうずうずしてる。そこに榛名がやってくる。フェンスにガチャと近づく田島。「コレコレ、フェンスの向こうは公式戦中!」と田島を窘めてフェンスから引き離す泉。その時榛名がブルペンで球を放る。シュゴォーという音を立てる球。音を聞いた田島は泉の手をばっと引きはがしブルペンで投げる榛名の球を凝視する。
三橋『まだキャッチボールなのに…軽く投げてるのにあの音…』
三橋は榛名の球の音に青ざめる。
阿部「三橋、あれがストレートだよ。これでもかってバックスピンきかしてたいしてスピード乗せてなくてもすげえ耳障りな音がする」
阿部的にはストレートの音は耳障りなんだ?それとも榛名が投げてるから過去の嫌な記憶が蘇って耳障りに感じるのかな?
三橋「いい球…」
阿部「ストレートがありがたがられるのは落下の少ない球が打ちにくいと思われてるからだ。だけど回転数の多い球はあたれば飛ぶ軽い球だぜ。」
三橋「え、ウ、ウソ、なな」
阿部「お前ボール持ってんだろ。ちょっと貸してみ」
練習着の中の腹の部分から球を取り出す三橋。
水谷は「うはっお前それいつもかっ」と驚きつつ笑う。
え〜〜!三橋練習中以外も服の下にボール入れて歩いてるの!?なにそれ可愛くない!?私は今胸キュンした。
しかもそのことをを阿部が知ってるっていうのがまたイイよね!いつから知ってたんだ、どうして知ってたんだ?
練習中じゃないのに持ってるってことは、部費でモモカンが買ったボールじゃなくて三橋個人の所有するボールだよね。いつも家からボール1個持って出てきてるってことよね。そういえば三橋のベッドの上にボール置いてあったな。持ち歩く用のボールがあるってことかな。授業の合間とかもボールにぎにぎしてるってことかな。なにそれ可愛くない!?
んで阿部君はいつも三橋の様子を眺めててそれを知ってるってわけだ、何それ萌える。

阿部はまずボールに回転をかけずに壁にぶつけた時のボールの跳ね返り方を見せる。次にボールに回転をつけて壁にぶつけてみせる。ボールは先ほどより勢いよく跳ね返ってきて三橋がそれをキャッチする。
阿部「な?回転の強い球はちゃんとバットに当たると飛ぶんだ」
三橋は自分でボールを投げてみて自分の球が飛ばないことを確認する。
阿部「…ま、他にも色んな要素があるけどな」
ここのコマの阿部君が顔を赤らめているのはなんでなの!?阿部君が顔を赤らめてるの見るのスキだから嬉しいし、かわいい顔してて眼福だけど、阿部がどういう心境でその顔なのかわからん。阿部が実践して見せたことに対して三橋が素直な反応をしてみせたから照れくさくなったってことで合ってる??
阿部「野球は回転数やスピードを競うゲームじゃねえ。多く点取った方が勝つゲームだろ」
頷く三橋。
三橋『…うん、そうだけど』
榛名の投球の様子を見る三橋。
三橋『100人いれば100人がオレより榛名さんを欲しいっていうよ。』
いや、100人中99人はわからないけど、少なくとも1人は、ここにいる阿部隆也は榛名じゃなくて三橋の方を選ぶよ!三橋のことを好んでるよ!気付いてくれ、三橋!隆也は三星戦の後、3年間三橋に尽くすって決意を固めたんだぞ。そんくらい三橋のこと想ってるのに伝わらない隆也の気持ち。
三橋は阿部が以前言っていた"首振る投手"は榛名のことだと気付く。阿部の根元の部分に榛名が存在していることを強く意識する。
まー確かに、阿部は榛名に対して負の感情を抱いているし色んなトラウマを植え付けられているけど、それはつまりそれだけ榛名の存在が阿部の中でデカいことの証明でもあって、良くも悪くも榛名に色々な影響を受けて今の阿部隆也ができあがっているわけで。阿部は未だに榛名の呪縛に囚われているとも言える状況なわけで。今阿部とバッテリーを組んでる三橋からしたらもやもやするというかなんか引っかかるよな。

観戦中の桐青高校メンバー。加具山がまた先頭を出したのを見て早く榛名をリリーフした方がいいと考える準太。和己は監督の読みでは武蔵野第一はこの試合で負けると答える。だから夏大に備えて今日どうしても観戦する必要があると。準太は夏大でこのチームが勝ち上がってこれるのかと疑問を呈する。和己はこの試合で榛名の偵察に色んな高校が観戦に来てることを指摘する。和己曰く「榛名は今のところまだイロモノだけど、これだけ人を集めるヤツなのは事実だし、来年には本物になってるかもしれない」とのこと。

武蔵野第一では加具山に榛名がポジティブな声掛けをする。加具山もノッてる様子。ブルペンに行く榛名。田島が柵の近くでペタンと身体を折りたたんで隠れて榛名の球を見てる。そこに三橋もフラフラとやってくる。田島は先ほど自分が泉に言われたセリフを三橋に伝え、三橋に隠れるように言う。
ついにキャッチャーが座る。キャッチボールではない本当の投球をする榛名。シュゴオと音を立て、ドンッとミットに収まる球。目をキラキラと輝かせる田島。ブルブル震えて泣く三橋。
三橋『榛名さんは最低じゃない。最低じゃないよ、阿部君!阿部君がこんな球うけてた人だったなんて、コントロールがいくらよくても変化球がいくつあってもこの速球の魅力とは比べものにならない』
阿部はそんな風には思ってないんですけどねー…。配給ヲタクの阿部からしたら9分割のコントロールがあって、3種類もの変化球が投げられる三橋の方がリード考えるの楽しいだろうし、変わった回転のまっすぐだって阿部は本心で魅力的に思ってるし、何より三橋の頑張り屋で努力家なところと投球に対する真摯な姿勢が阿部の心を掴んだんだけども、三橋にはなかなか伝わらないなあ。
中学時代のトラウマが三橋から自尊心と自信を奪ってしまったので阿部の誉め言葉もなかなか本気だとわかってもらえないというか三橋の中に入っていかないね。ザルみたいにすり抜けて零れ落ちていっちゃう。球威がないことを散々馬鹿にされてきた三橋だから剛速球の榛名に惹かれちゃう気持ちはわかるんだけどね。
三橋『阿部君がオレをほめてくれたのは投手が気持ちよく投げられるようにってほめてくれたんだ。誉め言葉をそのまま受け取って図に乗っちゃだめだぞ。阿部君はスゴイ投手を知ってる人なんだ。』
いやいやいや!気持ちよく投げられるようにっていう面は確かにあるけども、阿部が三橋をいい投手だって思ってるのも本当だから!三星戦で阿部は"大バクチで入った無名の公立校でこんな投手見つけたんだ。絶対手放したくない!"って思ってたんだよ!三橋は知らないけども。三年間三橋に尽くすって決意するくらい三橋のこと想ってくれてるんだよォ。三橋は知らないけども。伝わらない阿部の気持ち…というか阿部が伝えてないからいけないのか?
涙を拭う三橋。
三橋『オレが投げやすいようにって思ってくれたのはホントだよ。そこだけもらって、それはずっと大事にしよう
なんて健気な子…!素敵なモノローグ…だけど"そこだけ"じゃなくて他の阿部の気持ちも全部ちゃんともらってあげてください!!阿部君の想い全部ちゃんと三橋に届いてほしい。

泣き止んだ三橋に「なおったか?榛名行っちゃったよ」と声をかける田島。
田島夏あたんねーかなー。そしたらオレが打つからさ!"ゲンミツ"にさ!そいでゲンミツに勝つ!
田島カッコいいー!ゲンミツの使い方間違ってるけど!笑
三橋『オレはあたりたくない…けどもしあたったら』
阿部と田島のセリフを思い出す三橋。
 阿部「野球は回転数やスピードを競うゲームじゃねえ」
 田島「オレが打つからさ」
三橋『オレと榛名さんの勝負じゃない。野球はチームでやるんだ!投げさせてもらえるならオレは一生懸命投げよう!』
色々ネガティブなこと考えてた三橋だけどなんだかんだ最終的にポジティブな気持ちになれたようでなによりだ。

<第7回終了>