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おおきく振りかぶって 原作漫画感想 3巻 <第9回


<第9回 / あらすじと感想

三橋『阿部君は榛名さんとちゃんとバッテリーになりたかったんだ。オレはちゃんとバッテリーになるぞ。阿部君にはオレが投げるんだ!』
中学シニア時代に榛名の件で阿部がつらい思いをしたことを知って、自分はそうはならないと決意する三橋。

場面切り替わって、モモカンから「勝ち上がっていくために足りないものがある、何が欲しいか?」と問われる西浦メンバー。阿部がスッと手を挙げる。
阿部「もう1人投手が欲しい!」
ガーンとショックを受ける三橋。
まあ、『阿部君とちゃんとバッテリーになる!阿部君にはオレが投げる!』と決意した矢先に当の阿部からそんな言葉を聞かされたらショックだよね。阿部はそういうつもりで言ったんじゃないんだけど、自分がバッテリーの相手じゃダメって言われちゃったかのような錯覚をしちゃうよね。
モモカン「私もそう思う!」
追い打ちをかけられてフラフラとしてボロボロ泣き出す三橋。そんな三橋を気遣う栄口。泣いてる三橋に驚く泉・巣山。
花井「こ、これは?」
栄口「"もう1人投手がいたらマウンドとられちゃう"とか?」
(´;ω;`)ブワッと泣き出す三橋
花井「ええ?」
栄口「おお、当たりっぽい」
モモカンはこのチームでもマウンド独り占め願望が顕在の三橋に『やっぱりこの子は…』と考えてる。
『やっぱりこの子は…』の続きの言葉が知りたい。"生粋の投手だわ"的な意味なのか?それとも"投げるのが本当に大好きなのね"とか?
阿部「なんでだよ!この先投手1人でどうすんだ!今週から練習試合組んでるんだぞ。午前と午後で2試合やるんだからな。一日に2試合やるには2人投手がいるんだよ!」
三橋「に…2試合投げれる……」
阿部「ざっけんな」
モモカン「ゆるしませんっっ」

阿部もモモカンも青ざめて怒ってる。
三橋「でも……ちゅ中学では……」
モモカン「2試合投げてたってゆーの!!?ムキャーッ信じられない!!!」

拳を振り上げるモモカンを止める篠岡w
仮に一試合100球だとしたら1日に200球投げてたってことだもんね。スゲーな。
私は基本的に中学時代の三橋がヒイキでエースやってたとされてることについて疑問視してるんだけど(だって9分割のコントロールと変化球3つあるのに、球威がないってだけでダメピ呼ばわりは頭悪くない?)、それでも1日2回の練習試合の全部マウンドを叶に譲らなかったっていうのは、さすがにやりすぎだなーと思う。いや、それは三橋のワガママを通しちゃった監督が悪いんだけどね。
モモカン「練習試合は毎週あるんだよ!その度に300も400も投げさせるわけにはいかないの!」
三橋「でっでっでもっっ」
花井「粘るねお前」
普段気が弱いのにマウンドに関してはモモカン相手でも食い下がる三橋wさすが三橋だw
モモカン「それにねもうすぐ夏の大会が始まるでしょ。夏大のスケジュールは厳しいよ!あの炎天下の中試合感覚はどんどん短くなってそのうえ相手はどんどん強くなる!そこを勝ち上がっていくんだからね!出りゃあ負けてた中学時代とは違うの!1人でこなせると思ったら大間違いだよ!!」
"出りゃあ負けてた中学時代とは違うの!"という言葉に打ちのめされて声もなくポタポタと涙を流す三橋。花井は『容赦ないな』と青ざめ、栄口は『もうちょっと言い方が……』と苦笑い。そこで田島が篠岡にマジックペンを要求する。ペンで三橋の背中に何かを書く田島。「おいおいっ」と止める花井&栄口。
田島「おし!これでどーよ!」
田島が三橋の背中に書いたのは"1"という背番号。田島のとんでもない行動にドン引きする水谷・巣山・泉。
田島「"1番"はお前のだからよ!いつもしょっとけ!」
ニッと笑う田島。
三橋は周囲のメンバーを見回す。
花井「うんお前のだ」
栄口「だーれもとらないよー」
この小さい子どもをあやすかのような言い方がかわいいw
周囲の誰もが『いいのか!?そんなんでいいのか三橋!?』と三橋の様子を見守る。三橋は泣き止んで「……え、えへ……」と喜ぶ。練習着の上着を脱いで背中の1番をみて「うえへへへ…」と顔を赤くしてデレデレする三橋。
モモカン・田島・阿部・栄口・水谷・巣山『そんなんでいいんだっっ』
田島は満面の笑み。阿部は青ざめながら頬染めてなんか恥ずかしそう。栄口は苦笑。水谷は泣き笑い。モモカンと巣山は照れ笑い(?)といった表情。
このシーン、単純な三橋を見て皆それぞれが違う表情で頬を染めて笑ってる(※阿部以外)のがおもしろいw

三橋が納得したところで閑話休題。夏大まであと二ヶ月なので投手経験のある人に絞ることに。結果、花井と沖の2人が対象となる。この2人で1試合こなせるようにしていく。
モモカン「それから捕手ももう1人作りましょ!」
ドキっとして青ざめる三橋。そんな三橋の様子に気が付く田島。今度は阿部の背中に"2"を書こうとするが阿部が「いらねェっ」と抵抗する。阿部は田島の首に腕を回して絞める。「わかったギブ!頸動脈きめないでよ〜っ」と断念する田島。
阿部「オレは控え作られても焦んねーよ。つーかいなきゃ困るんだよ!オレ1人じゃ投球練習もまともにできないだろーが!」
阿部と田島が取っ組み合いしているのが新鮮だし、阿部に負ける田島がかわいい。
栄口は三橋の肩に手を置きながら「だぞ、お前が青くなんなくてもいいんだよ」と声をかける。
捕手の控え、モモカンは田島を指名する。阿部は『ナルホド田島か!』と納得の様子。理由は田島の地肩の強さ。それから三橋の変化球にも対応できる目の良さと運動神経。インサイドワークは遠隔操作って手もあるし、それに三橋と田島は仲がいい(天然どうし)
あ、もうこの時点でこの2人仲がいいんだ!?三星戦でベンチに帰れない三橋を連れて帰ってきたあたりから仲良くなったってことかな?その前はそんなに仲良さそうな描写なかったよね?そういや午前中の試合観戦でもプロテイン争奪スコア予想大会のスコア表を一緒に書いたりしてたな。三星戦で田島が三橋を認めたってことかな。てゆか、そもそもこの2人同じクラスだからこの一ヶ月の間に一緒にランチ食べてる…よね?田島三橋コンビがどの辺りから仲良くなったのか気になる〜〜。
阿部『オレが捕手をやれない場面でパニクった三橋をうまいことひっぱれんのは田島かもしんねェ!』
※注意:先の巻のネタバレ書きます※
実際阿部が捕手をやれなくなった時、1番パニクってたのは三橋ではなく阿部なんですけどね。三橋もかなり動揺してたけど。でも、ま、例のケガの瞬間に一番冷静だったのは確かに田島だった。あれはかっこよかったー。そして意外にも三橋は田島に引っ張られるだけじゃなくて、田島から頼りにされたりもしてて対等な感じのいいバッテリーだったのでした。
※ネタバレここまで※
田島は捕手興味ないと答えるが、モモカンは「サードよりもキャッチャーの方が強い球飛んでくるし、空高く上がったキャッチャーフライを捕れたらすっごく気持ちいいんだよ」と田島を上手いこと説得する。水谷と花井はモモカンの説得の上手さに感心した様子。バッテリー5人が決まったところで、花井・沖・田島がポジション変わるなら他のメンバーもポジションを変えなければならないのでこの日以降は1人2つ以上のポジション練習をすることに決定。

ブルペンで初めて防具をつける田島。「おおっ思ったより軽い!」といいながらぴょんっとジャンプしてみせる。モモカンはミットは田島のクセを付けた方がいいからあまり慣らしてないという。
田島「え、オレ様にしちゃっていんすか!?」
モモカン「いいよ!そのかわりキッチリ慣らしといてね!ミットの手入れしなかったせいでフライ弾いたりしたら許さないからねェ〜〜〜
ミットをはめてる田島の左手をググググと握るモモカン。青ざめる田島。
田島「きょ今日!持って帰って慣らします!!ゲンミツにっっ」
沖「あれは田島が単純なのかな?」
花井「やあ、田島は操縦難しい類だと思うぞ、手を離すと一目散にどっか行っちゃいそうな」
沖「ではやはしモモカンが」
花井「あの女の性格は才能だ」
花井は最初あれだけ監督が女ってことを拒絶してたのに今や完全にモモカンの手中に落ちたもんねw
モモカン「じゃあ投げてみて!花井君から!」
花井「はい!」

一方阿部と三橋バッテリーのブルペン。三橋の3球目を受けた後、立ち上がる阿部。ギクっとなる三橋。三橋に近寄っていく阿部とそれをみてわたわたと慌てる三橋。
阿部「コラ。その態度、自分で投球のデキわかってるな」
ネットの方を向いて阿部に背を向けて汗をかく三橋。
阿部「合宿の疲れ残ってんのか?」
三橋プルプルと首を振る。
阿部「だったら気のねえ投球すんな。意味ねえし、ケガの元だろ」
コクと頷く三橋。
阿部「……あのさ、喋んなきゃわかんねかんな」
三橋「………」
振り返る三橋
阿部「言ってる意味わかる?」
三橋「?」
コクコクと頷く三橋。
わかってるの、かわかってねえのかどっちなんだw(たぶんわかってないw)
阿部「ハテナだしながら頷くなよなあ。スゲエむなしい」
ギシっと固まる三橋、顔は青ざめてる。
阿部「頷くなっていってねえよ。わかんなきゃ聞いてこいって言ってんの。…たのむぜ。何聞かれてもおこったりしねえから」
三橋「……う」
顔を上げる三橋。
阿部「あーでもオレ言葉雑だから怒ってるみたく聞こえんだろーけどそれは数えんなよ」
三橋「……」
ビミョーな表情をする三橋。
どういう感情の顔なのそれはw雑な言葉で怒ってるみたいな言い方をされるのがイヤだなってこと?
阿部「ああじゃあそれはちっと気を付けるけど、いや待てよ全く怒んねえなんてことはねえな。ええとな」
情報量過多で大混乱の三橋。
阿部「1コずついく、1コずつ!まずコレ!気のねえ投球の理由!二人目の投手作るのそんなにヤなわけ?」
三橋「え…ううんそれは、あ、ヤだけど……ヤだけどいいんだ。オレが意地はっても通らないのがキモチイイ……」
阿部「ふーん」
阿部は『この意地が中学では通ってたんだもんな。そらキモチワルイ世界だよな』と思う。
阿部「もっかい言うけど投手もう一人欲しいって言ったのはお前が頼りねえからじゃねえぞ」
三橋「へ…へえ?」
嬉しそうな顔をする三橋。
阿部は呆れながらも『何度でもいう』と心の中で思う。
阿部「練習試合をダブルで組むには投手が2人いるんだ。それからお前なんかフラフラーッと転んで怪我とかしそうだろ。あと左打席!デッドボールが右側にあたるじゃねーか!この間プロテクターしてなかっただろ!寝ないで試合とかももうナシだぜ!よくねろ!よく食え!飲酒運転の車には乗るな!
三橋にめちゃくちゃ世話を焼く阿部(笑)、『話チョーずれた』と思いながらネットにもたれかかって顔赤くしてる。
ここの照れて顔赤くしてる阿部隆也めちゃくちゃかわいいーーっ!!
阿部「だから体効かなくて投げらんねえ日があるかもしれねえってこと。そういう日を花井と沖で乗り切るんだよ。そいでお前は次の試合までに復活すりゃあいいだろ!」
三橋「………ほ、捕手も……?」
阿部「捕手?ああ、オレか!そうだよ!オレだってタックル食らって肩外れたらその日は引っ込むしかねえだろ」
ザア…っと青ざめる三橋。
阿部「なんだソコかよ!」
三橋の気のない投球の理由にようやく気が付く阿部。
三橋「だって…あ、阿部君がいなかったら、オレはただのダメピーで…」
阿部「なことねーって」
ここで阿部が否定してくれるのが嬉しい。初対面の時は腹の中で『オレがいなかったらお前はただ球が遅いだけの投手だ。自分の力のなさを覚えておけよ。』とか思ってたんだよこの男。この一ヶ月で変わったなあ。
三橋「あ、あ、あるんだ!」
珍しく強い口調の三橋に面食らう阿部
三橋「オレはダ、ダメピーだ。阿部君が捕ってくれなかったらオレは…また役に立たない投手…になっちゃう……」
うなだれる三橋。切なげな表情の阿部。
阿部「オレが受けりゃお前は"いい投手"になんのか」
三橋「……う…… うん」
頷く三橋。
阿部『こいつ……自分を肯定する台詞言ったのはじめてじゃねえか!?』
頬を染めながらニッと笑う阿部
阿部「ならオレ3年間怪我しねえよ。病気もしねえ!お前の投げる試合は全部キャッチャーやる!」
三橋「ホ、ホントに!?」
口を大きく開けて頬を染めて喜ぶ三橋。

ここすっごいいいシーンなんだけど、めちゃめちゃ阿部が怪我するフラグが立ってて複雑な心境。フラグビンビンじゃないですか。不穏。
阿部「その代わりお前も故障すんじゃねえぞ!」
三橋「うん!!!」
大きな声で返事する三橋。その声を聞いてるモモカンは『何話してんのかわかんないけどきっといい話したのね!投手にああいう返事をさせられるならこの段階では言うことなしだね!』と阿部を高く評価する。

田島はさすがの身体能力と野球センスで、イキナリの捕手なのに捕って投げるだけならもうある程度こなせている。花井と沖の投球もモモカンの予想よりずっと良かったらしく、このままでの練習試合には使えるレベルだという。モモカンは『花井君には変化球を覚えさせて、沖君には本格的にピッチングさせて、三橋君の投球もまだまだ磨けるし、西広君は外野フライをさばけるところまで鍛えさせきゃ。それから送球の徹底、内外野の連携プレイ、バント、走塁、スイングをいじりたい子もいる』とまだまだ伸びしろがいっぱいあるこのチームを夏大までにめいっぱい育てようと意気込む。

ダウン終了後、プロテイン争奪試合予想大会の結果発表。
 上位3名:巣山、花井、水谷
 中4名  :泉、沖、栄口、西広
 下位3名:阿部、田島、三橋
阿部と田島が「うそ!!!!」と大声をあげる。阿部は投手に悪い予想をつけすぎたらしい。
青ざめながらくうっと悔しがる阿部とその後ろでおいしいプロテインを見せびらかす花井、水谷、巣山。
このコマ、阿部の顔は言わずもがな、後ろの花井・水谷・巣山もめっちゃいい顔してておもしろくてスキw
そして0点だった三橋と田島は罰としてモモカンに頭をつかまれぎゅぎゅぎゅーっと握られる。自力金剛輪という技名らしい。ちなみにGW合宿の際に周辺視野のパネルゲームをマジメにやらなかった阿部と三橋も食らっていた。

まずいプロテインを食べたくない阿部、三橋、田島の3人。そこに花井がやってきて「ノートをちぎってプロテインをくるんでバットで砕いて粉にして喉の奥に入れればいいんだ」と世話を焼く。田島と三橋の分を作ってあげる花井。「阿部は自分でやれ」とのことw
ここの花井、弟の面倒を見るお兄ちゃんみたいでイイよね!そして阿部にはやってあげないところもイイ!笑
田島は花井に作ってもらったプロテインの粉を喉の奥に入れるが結局「ぶあほっ」と吐き出してしまう。三橋も「ぶへーっくしょ」と吐き出す。
花井「あーってめーらっ」
田島は「わざとじゃな、ゲフッ、気管に入って」と涙目で弁明する。花井は「もったいねーだろ!!」と叱る。その後ろで阿部は自分の分のプロテインをバットで砕いてる。それを見てるモモカンはたぶん笑いたいのをこらえて平静を装ってる。
このシーンコミカルでスキだわ〜。

モモカンは部が始まってそろそろ一ヶ月が経ってお互いの性格もわかってきたのでここらで主将を決めようと提案する。誰がいいかと問うモモカン。
泉『同じ学年だけだからちゃんと注意ができるやつがいいな』
栄口『そんで監督にもモノが言えて』
沖『一生懸命なんだけど』
阿部『1人で空回っちゃわないやつ』
みんな『縁の下の力持ちをやっても腐らずにいられる自信を持ってて、下の者を放っておけない。むしろ放っておくほうがストレスになるような――……』
ここで全員が花井を取り囲んで視線を送る。
花井「おっお前らっっ」
モモカン「アラマー一発だわね」
花井「マジすか」
モモカン「花井君、私も同意見ネ。やってくれる?」
一瞬ギョッとして、グッと考えた後意を決した表情になる花井。
花井「まっいっすけど!」
皆が拍手を送る。
私も花井の主将決定に異論はないけど、"一生懸命なんだけど1人で空回っちゃわないやつ"っていう評価は…そうか?私的には花井は結構1人で空回っちゃうタイプなイメージなんですけど。3打席勝負とか、阿部にまんまと煽られて乗っちゃってさ。
花井「副主将二人はオレが決めていーすか?」
モモカン「そーね、いいんじゃない?」
花井「じゃ、同じクラスから1人、阿部。相談が楽だ」
阿部「うーす」
え、同じクラスだからって理由で選ぶの?2年生や3年生になってクラス替えでクラス離れたらどうすんの?私も阿部の頭脳とずる賢さは副主将に向いてると思ってるから別に異論はないんだけど、選んだ理由が"同じクラス"なのがひっかかる。
花井「あと栄口!内野の中心やってくれ!」
栄口「はいよ」
うんうん、栄口も副主将にピッタリだよね。きめ細やかな気遣いができるところとか物腰の柔らかさとか、でも地に足がついてる考えとか、花井にも阿部にもない"柔"の部分を担当してくれそう。
主将が決まったところで、今日の練習は主将の声出しで締めることに。
花井「夏大までがんばるぞ!!!にしうらーぜっっ」
他のメンバー「おおおっ」

<第9回終了>